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スバルはどのようにして衝突安全の最高評価を獲得したか

「最新のスバルは最良のスバル」を裏付ける記事ですね。(ほんとはスバルの所はポルシェですが(爆))
ちょっと長い記事ですが、じっくり読み込んでみるととても面白い記事なのでクリップしておきます。

-----転載開始-----
スバルはどのようにして衝突安全の最高評価を獲得したか

富士重工業では、より安全かつ快適な自動車の設計に広くCAEが活用されている。特にアメリカで実施されるIIHS(Insurance Institute for Highway Safety:米国道路安全保険協会)衝突安全試験では、評価された7車種全てで最高評価のTop Safety Pickを獲得しているなど、安全面での評価は高い。その安全性や快適性などの各種性能に、同社のCAE技術が貢献している。2014年7月18日に開催されたアルテアエンジニアリングのユーザーカンファレンスで、同社 スバル技術本部 CAE部 部長の永沢浩氏は、CAEの取り組みを衝突安全、運動性能、振動・騒音の3つの視点から紹介した。

 富士重工業では1980年代からCAE技術の開発を進めてきた。開始当初は、既に発生したトラブルの原因解明や基本性能の見通しを立てることが主なテーマだった。1995年ごろにはコストの掛かる衝突試験回数が増加したため、これをCAEに置き換える研究が行われた。その後、スバル技術本部CAE部が発足し、現在は同部を中心としてCAE戦略の策定およびCAE技術の開発、適用が行われている。CAE技術によって試作車製作イベントを減らすといった成果を得ている。

 自動車の安全性を判断する基準の1つに、第三者機関による評価が挙げられる。富士重工業の自動車の売り上げは北米が約6割を占めており、同社にとって非常に重要な市場だ。そのため同社ではアメリカの保険業界が設立するIIHSが実施する衝突安全評価への対応が重要になる。

 IIHSが実施する衝突試験は幾つかあり、全て4段階で評価される。従来は全ての試験で最高評価のGoodを得た場合に「Top Safety Pick」認定を獲得できた。2012年には新しい試験項目の「スモールオーバーラップ(SOL)衝突」の試験が登場した。内容は前方の障害物が運転席側の端から25%の幅に時速約64kmで衝突した場合の安全性を評価するものだ。実際の事故で多く見られる衝突の仕方であることから新たに設けられたという。SOLの評価が4段階のうち上位2段階(Good、Acceptable)で、かつ従来の試験がすべてGoodあればTop Safety Pickを獲得できる。だがSOLは非常に厳しい基準であることもあり、最低評価になる自動車も多い。新型フォレスタ―は、このSOLでGoodを得てTop Safety Pickを獲得したという。

 IIHSがSOLの試験評価基準を決定したのは2010年8月だったが、新型フォレスタ―の開発はそれ以前から始められていた。そのためSOLの社内評価基準を設定し、CAEモデルを先行して開発して評価を行いつつ、試験基準が発表された時点で再評価するという方針で開発を進めたという。SOLの対策前の構造では、キャビンの変形によって乗員の生存空間がかなり狭くなっていた。そのためピラーやシル部などの骨格を補強するとともに、フロア部も補強して対策を行い、SOL試験でGoodを得ることに成功した。

CAEでより効率的に対策

 こうして富士重工業では新型フォレスタ―でTop Safety Pickを獲得した。ただ今回の対処法は、補強によって頑丈さを高めるものだったため、重量が重くなりコストも掛かったという。そこで次の開発車ではCAEを活用して、より合理的な対処法を検討した。

 SOL試験では、障害物がフロントフレームには当たらず、直接キャビンにぶつかっていた。そのため衝突エネルギーがフロント部分で吸収されないままキャビンにまで伝達されていた。そこでフロントフレームに新たに設定したガゼット構造で障害物を受け止め、衝突エネルギーを吸収するようにした。これによりキャビン側の補強をむやみに増加させず、トータルで軽くかつ安全な構造を作ることに成功した。

 この構造はアメリカの2014年モデルのインプレッサ、XVや2015年モデルのWRXに採用され、これらも全てSOL試験でGoodを得てTop Safety Pickを獲得したという。またIIHSの試験項目に、前面衝突予防システムを装備する車種に対して実施される前面衝突予防性能の新試験がある。これにおいても富士重工業の車種の中でEyeSightを搭載した全車種が衝突回避の最高評価を獲得し、衝突安全評価と併せてTop Safety Pick Plusという最高評価を獲得したという。

さらに解析精度を高める

 今後、衝突試験における解析精度をより高めたいとして、タイヤ回りの荷重の伝達特性の予測精度を上げた。SOLでは障害物がタイヤに直接衝突する。そのためタイヤやホイールを通した荷重の伝達経路の解明が必要になる。例えばアルミ製と鉄製のホイールではエネルギーの吸収特性が異なる。そこでCAE部では、ホイールやサスペンションのアーム、ハウジングなどの足回り部品の圧潰試験を行い、得られた荷重特性にCAEモデルを合わせ込む取り組みを行っている。現状では、エネルギー吸収特性は実験と大体合うようになったが、部材の破断位置の予測までは難しく、今後の課題として進めていくという。

タイヤの予測精度を向上

 自動車の運動性能に関するCAEの取り組みも紹介した。その1つが、タイヤがいつ限界に達するかを予測するCAE技術の精度を高めたものだ。従来はフラットベルト試験やドラム試験で計測したデータを基にタイヤのモデルを作成していた。このタイヤモデルを使った車両運動解析モデルと実験の車両挙動を比較して、実験結果と合うようにタイヤモデルの特性を調整していた。だがこの方法だと場当たり的で根拠に乏しいチューニングになってしまう。またシャシーモデルの不整合分がタイヤのチューニングに隠れてしまう可能性もあった。そこで実走状態のタイヤの六分力を計測してタイヤモデルに反映。これによりタイヤ特性を同定した。これによってコーナリング時のブレーキやレーンチェンジなどにおける車両挙動の予測精度を向上させた。

 また操舵応答の俊敏性についてもモデルでの予測を可能にしたという。車両の舵を切った時にヨーレートは遅れて立ち上がる。車両のフロント部の重量配分を大きくすると、ヨーレートの立ち上がりはより遅くなるという。だがこの現象は、従来はCAEモデルでは再現できなかった。そのため、操舵時のサスペンション挙動が時間軸で分かるような台上試験を行い、得られたデータを使って新たなモデルを開発。これにより重量配分の変更に伴う操舵応答の遅れを再現できるようになったということだ。

振動・騒音のシミュレーションも実施

 最後に永沢氏は、車両の快適性に関するCAE技術の展開について紹介した。路面から伝わる低周波振動については、車体の振動の伝達の正確な予測に取り組んでいるという。まず3次元計測によって路面データを取得し、路面モデルを作成した。また有限要素法による車体モデルも作成した。サスペンションのモデリングについては不明なパラメータが多いが、独自の計測技術を踏まえてモデルを構築したという。これらを使ってフルビークルモデルを構築し、路面モデル上を走らせることによって、フロアやシートの振動を評価し、実車際の傾向をCAEで捉えられるようになったという。これにより、シャシーを経由する低周波振動をジオメトリなどの変更によって対策するとともに、車体振動を抑えるため各部の剛性を適正化することによって、振動の低減に成功した。

 エンジンの高周波音に関しては、前倒しの対策をCAEによって可能にした。従来はエンジンの高周波音は、開発の終盤になって防音・遮音材を追加で貼り付けるという対策になっていた。だが質量、コストが増えるため、事前に吸音材を適切に配置できるよう解析を行ったという。まずエンジン単体でベンチ試験を行った。音響ホログラフィによってエンジン表面の音圧分布を求め、エンジンモデルに音圧分布をマッピングして音源モデルとした。また、空力解析モデルを活用したエンジンルーム内空間モデルと車体外部空間モデルを結合して、音響解析モデルとした。これに吸音材モデルを組み込んで、有限要素法による解析を行った。

 下図が放射音の可視化結果だ。2842Hzで赤い箇所が音圧の高い所である。シミュレーションによって、どこに吸音材を貼り付ければ効果が高いかが分かる。このモデルにより、開発の初期段階から吸音材の最適な配置を検討できるようになった。

放射音の可視化を行い、開発の初期段階から最適な吸音材の配置を検討できるようになった。
 上記のように富士重工業では、衝突安全についての第三者評価における最高評価の獲得や、運動性能の予測技術の確立、騒音・振動の事前検討などに幅広くCAEを活用している。スバルのブランド価値の向上にCAEが大きな役割を果たしているということだ。

http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1410/10/news064.html
-----転載終了-----


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