「父親たちの星条旗」を見て
昨晩、近くのシネコンで「父親たちの星条旗」を見て来ました。
見たい人もいらっしゃると思うので、ネタバレ無しで行きます。このクリント・イーストウッド監督の「父親たちの星条旗」は、後編の「硫黄島からの手紙」を見ないとキチンとした評価は下せない。そんな印象です。
前編を見た感触では、この映画の語りたい部分は「プライベート・ライアン」とは異なります。「命の重み」といったテーマではなく、戦場という「非現実的な現実」に翻弄された人々の姿を描いています。この部分は、とても意味深いものと感じましたが、私の感覚では、演出面で彼らがその戦場でどんな体験をして来てそうなってしまったのか、この部分の押しが緩めになってしまっている印象をうけました。焦点を微妙にずらす事で本当の現実から目を離してしまっているような感触・・・ここは、良くも悪くもアメリカ映画でしょう。NHK特集で聞いた硫黄島から生還された方々の言葉の力の半分の説得力も出ていない、そんな感じです。まあ、これは現実を語る者とそれを聞いて映像にした物の認識のズレといった所かもしれません。
ただ、この構成が「攻める側、攻められる側」の視点の違いとして描かれていると仮定するならば、とても凄いことになるかもしれません。ここは後編を見てみない事には、どうにも判断はできません。
しかしながら、この映画に関して凄いと思った点は、アメリカ側、日本側のどちらに偏る事も無く、公平に描かれていた事。そして、戦争という体験が人の人生にどのような影響を与えるのか、こうした点については、ド派手な演出を入れる事無く、ドキュメンタリー映画の様に淡々と語られています。答えは後編を待て、または、この映画を鑑賞した人に委ねられています。
見て損は無い映画、でも、後編を見ないと本当の価値が見えない映画、そんな感じでした。
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コメント
この映画は自分も是非見ようと思っています。
理由は、たまたま硫黄島からの生還者の話(NHKスペシャル)を見たからです。
番組が終わったあと、涙が止まりませんでした。
なので、映画には非常に期待をしているのですが・・・
まずは冷静に見てみたいと思います。
投稿: 160SX | 2006/11/06 05:14
160SXさん
見て損は無い映画だと思います。ただ、戦争映画独特の直接的な凄惨さみたいなものは、若干押さえられている感じです。そうした事で、人の心の傷や痛みの様なものが伝わってくる感触です。
良作ですよ。
投稿: Algernon | 2006/11/06 20:50